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観測目標

その他の研究領域

  1. 重力レンズ天体を使った宇宙論的研究

    重力レンズは、宇宙における質量分布を測定する上で重要な手がかりのひとつです。
    現在まで重力レンズを用いて、たくさんの違ったスケールでの質量分布や状態が調べられています。VSOP-2の打ち上げ(2012年)までに、VSOP-2で観測可能な重力レンズ系サーベイが、少なくとも20から50のサンプルを提供される見込みです。
    VSOP-2では、高い空間分解能による観測で、重力レンズの詳細な質量分布を導くことができ、そこから更にレンズ銀河内のダークマター(見えない質量)の分布を明らかにすることが可能です。
    従来の手法とは独立な測定であるため、VSOP-2の観測データは、これまでの宇宙論をさらに絞り込むことができると期待されています。

  2. 超新星

    超新星爆発は大質量星の終末です。
    これまでVLBIの高分解能観測により、数年間にわたって超新星の膨張が追跡されてきました。例えばM81銀河で発生したSN1993Jは、VLBAによってその膨張がモニターされており、膨張率、放出の減速、星周辺領域の密度分布を直接計測しています。
    VSOP-2で狙うのは、さらに距離が遠く小さい超新星です。VSOP-2の高い分解能により、超新星の膨張をより早く検出することが可能です。進化の早い時期での膨張率と星周辺の密度分布を追跡することができれば、爆発する直前に星がどのように質量損失をしてきたかなど、進化の精密なモデル化が可能になります。
    また、M81のように中心核の電波放射が明るい銀河において超新星が発生した場合、中心核と超新星との相対位置をモニターすることで、銀河回転と超新星の固有運動とを合成した運動を調べることができます。

    VLBAで捉えた超新星の膨張の様子 左図:VLBAで捉えた超新星(SN 1993J)の膨張の様子。
    左上の最も小さい点が1993年5月17日の観測、右下の最も大きいものが2000年2月25日の観測。


     
  3. 系内ジェット天体/マイクロクェーサー

    X線連星は、中性子星あるいは小質量ブラックホールといったコンパクト天体と、伴星の恒星から成る近接連星系です。伴星から降着したガスがコンパクト天体近傍に降着円盤を形成して放射をするほか、相対論的な速度のジェットを両方向に放出しています。活動銀河核に比べて小さいスケールなので、時間変動も速く、高エネルギー現象の時間発展をわずかな観測期間で捉えることができます。
    VSOP-2を使うと、このような天体の降着円盤に近い中心核領域の像が得られ、ジェットの根元近くから外側の領域までの、相対論的流れを観測できると期待されます。X線の光度モニター観測と共同して、降着円盤の状態とジェットの発展とを同期して捉えることにより、より詳細な分析が可能になります。(下図)

    下図:系内ジェット天体GRS1915+105のX線・赤外・電波における光度曲線
    系内ジェット天体のX線・赤外・電波における光度曲線