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観測目標

星形成

VSOP「はるか」では観測対象がほとんど活動銀河核に集中していましたが、VSOP-2では星形成領域の観測も主要な課題として成果が期待されます。
VSOP-2で狙う観測対象は降着円盤のより内側、原始星磁気圏と降着円盤との相互作用領域です。

下図:原始星の概念図
原始星の概念図

 
  1. 星の初期進化と原始惑星系円盤

    星形成は、原始惑星系円盤が形成されてから、消失していくプロセスをたどります。
    原始星の周囲には、ダストや分子ガスが円盤状に回転する原始惑星系円盤が存在します。そこでは中心星への質量降着や円盤内での局所的な密度ゆらぎから惑星形成が起こっていると考えられています。
    原始惑星系円盤は弱く電離したガス円盤となりますが、電離した円盤は原始星の磁気圏との間で複雑な相互作用を起こします。円盤の回転が磁力線で妨げられる場所では、原始星そのものと同じような複雑な現象が生じており、そこからは高速中性風やジェットが吹き出していると考えられています。
    VSOP-2では、それらの領域を高感度・高分解能で観測します。

  2. 原始星磁気圏

    若い天体(Young Stellar Objects:YSOs)の磁気圏は、降着円盤の動きに重要な役割を担っていることが理論的に予測されています。観測でも、この領域からのX線放射が数多くの原始星で検出されており、磁気による巨大フレアがその放射メカニズムと考えられています。X線光度と電波光度との間には相関があり、高分解能観測が可能な電波でその構造や輝度温度を求めることは重要です。
    より若い原始星の非熱的電波は弱いものが多く観測は難しいですが、X線光度が通常の100倍以上に明るくなる「スーパーフレア」直後には電波光度も増加して検出できる可能性があります。
    VSOP-2高分解能は、フレアを起こす磁気圏の領域を詳細にマッピングできると期待されています。

  3. 原始惑星系円盤

    これまでミリ波干渉計やVLBIの観測によって、分子ガスが回転しながら原始星に降着する様子が調べられてきました。ガスの運動は、H2Oメーザーを観測・分析することによって調べられます。
    VSOP-2で原始惑星系円盤のメーザー放射を観測することの意義は、その運動を短期間で詳細に調べることにあります。小質量星のメーザー放射は1ヶ月程度以下の短いタイムスケールで時間変動するので、短期間で運動を測定することが、その運動の解明にとって重要になります。